茨城県立笠間陶芸大学校
卒業制作展2019|対話
陶芸学科 今北 有珠 インタビュー
今北は、大学休学中に陶芸を志し、卒業後の2017年陶芸学科に入学。
今回の卒業制作に向けてのインタビューを行いました。どうぞご覧ください。
Q1. 陶芸をする中で得た発見や感動など、自身にとっての
陶芸の魅力を教えてください。
土に手で触ってかたちづくるところに魅力に感じています。指先の皮膚や触覚を使って土とじかに関係を結べるところ、自分の意志も、意志出来なかった無意識なところも全て土が覚えていて、それがかたちとなっていくところが面白いです。
また土の乾燥をコントロールしながらじりじりと制作を進めるため、一つの作品にかける時間が長くなります。浮かれたり煮詰まったりしながら手を動かし、やがてぼんやりとしていた土のかたまりの中に「こうしたい」という意志が固まり始めます。時々間に合わないものの行きつ戻りつ、最終的には加速度を伴って作品をつくりあげていく、自分の中の何かと何かが土によって繋がっていく不思議を体験しています。
Q2. 制作のもととなるインスピレーションを教えてください。
私にとって表現の源は、かたちというよりも、広がりを持つもの、心の中の情景のようなものであるということが制作を通して見え始めてきました。
Q3. 卒業制作に向けてどんなテーマ、意識を持って制作していますか?
現在の課題も教えてください。
前回の課題では、情景的なものを陶芸で表現するにあたり、陶板「情土」を制作しました。自らの心象風景や思考と土との間を泳ぐように、私が土を触るという行為を媒介として、かたちを立ち上げていきました。
卒業制作では、陶板ではなく立体作品として取り組みたいと考えています。陶板では土を触っていたいがためにテクスチャーが膨大となり、作品よりも作業量を感じさせてしまうことがありました。手と目のバランスを鑑み、「心象風景を立体造形として生み出す」をテーマに制作していきたいです。
二年次課題より「情土」
二年次課題より「情土」
制作中の様子