茨城県立笠間陶芸大学校
卒業制作展2019|対話
研究科 吉田 知世 インタビュー
吉田は、武蔵野美術大学造形学部 空間演出デザイン学科を2008年に卒業。
オーストリアに留学し陶芸を専攻。2014年に卒業し、2018年研究科へ入学しました。
今回の卒業制作に向けてのインタビューを行いました。どうぞご覧ください。
Q1. 陶芸をする中で得た発見や感動など、
自身にとっての陶芸の魅力を教えてください。
土を使って制作をする中で、さまざまな制約がありリスクも多いけれど、それでもやはり土で作品を作りたいと思うのは、窯からでてきたときの質感や土の色に魅力を感じているからです。
私は主に釉薬をかけない作品を作ってきましたが、焼成後の土を見ていると、光が沈んでいくようなしんとしたものがあって、それにいつも惹かれて制作をしています。
Q2. 制作のもととなるインスピレーションを教えてください。
私のインスピレーションの元は、生活の中のありふれたものを観察することです。
例えば食事をしながらパンの質感をじっと観察してみたり、夜、天井に映る影をじっと眺めてみたり…日常の当たり前のものが眺めている時にあたり前のものではなくなっていく。そういう風に見たものの記憶が、ふとした時に繋がって、作品を作る種になっています。
Q3. 卒業制作に向けてどんなテーマ、意識を持って制作していますか?
現在の課題も教えてください。
研究科に入ってからは、土に溶ける原料を混ぜて、焼成時にやわらかく形が変化する現象を作品に取り入れて制作をしてきました。微妙な配合の違いや、焼く温度が焼成後の結果に大きく影響するため、なかなか思い通りの結果が得られず、試行錯誤の連続でした。後期では、もう少し焼成後の結果をコントロールできるよう、実験をしながら土のことをもっと知っていきたいと思います。
そして、一年という短い期間ですが、これから先制作を続けていく土台になるようなものを、この学校にいる間に築きたいと思います。
前期制作展より
「そのとき、私とあなたの間に
流れていたもの」
制作中の様子